− 研究紹介 −
表1「フォトニック生体情報計測制御」プロジェクトの5つのテーマ |
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1 | 体内微小機器への遠隔的光エネルギー供給および光情報通信・制御 |
2 | 組織内生体情報の実時間レーザー観察:マイクロレンズアレイを用いた多光子顕微鏡 |
3 | 表面プラズモンポラリトンセンサと光導波路を用いた極微量な分子の選択的モニタリング |
4 | フォトン力学的血管内ドラッグ・デリバリーシステムの開発 |
5 | フォトニック生体計測制御における非線形複雑系の逆問題 |
1. 体内微小機器への遠隔的光エネルギー供給および光情報通信・制御
近い将来、私たちの体の中には、たくさんのマイクロアクチュエータやマイクロセンサが装備され、私たちの体内の状態をモニターしたり制御あるいはアシストする時代が到来するものと予想されている。生体内に埋め込まれたマイクロマシーンと体内との情報のやりとりや、マイクロマシン駆動のためのエネルギー供給のために、私たちは近赤外レーザーを利用することを考案した。丁度、テレビのチャンネルやエアコンの動作をリモコンで操作するように、生体内機器を体外からワイヤレスでモニターしたり操作するわけである。
波長810 nmの近赤外半導体レーザー光を、麻酔により眠っている状態のモルモットの皮膚下に埋め込んだ心臓ペースメーカーにパワー電送し、実際にペースメーカーが正常に駆動することを初めて確認した。検出器には、光電変換効率の高いシリコンのPINフォトダイオードを用い、光源が遮断されているときには、バックアップ用電池からの電力を供給できるようなセレクタ回路が作られている。レーザーパワーは、このようなもっとも負荷の高いマイクロマシンにおいてですら4
mW程度でよく実用性の高い研究として注目を集めている。
− マイクロレンズアレイを用いた多光子顕微鏡 −
フォトンを使う生体情報計測の最大のポイントは、非手術的に生体内を観察できることにある。このようなメリットを生かす装置として、レーザー走査の共焦点顕微鏡が開発されてきているが、実際の生体組織内においては光の散乱を無視することができず、それを応用することができなかった。白色干渉法や光CTなどの研究も精力的に行われてきているが、これらも光散乱の影響を強く受け、深さ1 mm程度までしか観察することはできない。私たちは、近赤外フェムト秒パルスレーザーを集光することで、そのフォーカス点においてのみ2つ以上のフォトンが同時に生体内分子によって吸収されうるという多光子過程を利用したレーザー走査顕微鏡装置をこれまでに開発してきた。本プロジェクトにおいては、再生増幅器をフェムト秒レーザーの後につなぐことにより、MW級のレーザーパルス列を作り、これを高速回転するマイクロレンズアレイに同時入射することによって、リアルタイムで生体の3次元組織を観察する装置を試作している。現在、これを用いて心筋細胞を走るCaイオン濃度波の実時間観察による心筋細胞内信号伝達機構の解明を目指している。
3. 表面プラズモンポラリトンセンサと光導波路を用いた極微量な分子の選択的モニタリング
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Prof. Kawata's Laboratory
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Last Modified Jan. 8, 1999